プラスチック資源循環法で排出事業者がすべきこと

ヴェオリアのリサイクル概念図

ほぼすべての排出事業者が対象となります

排出事業者がすべきことが「排出事業者の判断基準省令」に記載されています。詳しい説明は、環境省ウェブサイトに譲り、ここでは例を上げつつ、注目すべきポイントを考えてみましょう。

なお、勘違いされやすいですが、プラスチック使用製品には、容器包装も含まれますし、メーカーだけでなくユーザーとして廃棄する場合も対象です。小規模事業者として商業・サービス業は5人以下、それ以外の業種は20人以下が対象外になります。しかし、製品も業種も限定されていないため、ほとんどの会社が(プラスチック使用製品の)「排出事業者」としてこの判断基準省令の対象となります。

排出事業者の判断基準省令を考える

廃プラスチックは、マテリアルリサイクルを模索せよ!!

まずは、最優先である排出抑制が例示されています。プラスチック製品の製造や成形過程における合理化・端材の発生抑制のほか、流通過程でのプラスチック包装材の簡素化や素材転換などです。注意すべきポイントは、プラスチック使用製品産業廃棄物等には有価物も含まれるということです。つまり、「有価売却できていれば、それでよい」ではなく、「有価物でも排出抑制すべき」なのです。

廃棄方法として再資源化(≒マテリアルリサイクル)を原則とし、再資源化できない場合(周辺地域に再資源化できる施設がない、感染性であるなど)は熱回収をします。廃棄物処理法の熱回収認定などは不要ですが、効率の良い施設を選択することが求められています。

  • マテリアルリサイクル業者の探し方

マテリアルリサイクルをする業者のなかには、買取を基本としていることがあります。そういった場合は、産廃の許可を持っていないこともあります。容器包装リサイクル法のリサイクル業者も、産廃の許可がない場合が多いようです。許可業者の場合はリスト化されているので探しやすいですが、そうでないと難しいかもしれません。

もちろん、インターネットでの検索は有力な手法です。近隣の業者を探すために、GoogleMapから検索してもよいでしょう。都道府県の産業廃棄物協会/産業資源循環協会や、都道府県の産業廃棄物課に問い合わせると、把握している範囲で教えてもらえるかもしれません。
現在取引がある収集運搬業者や中間処理業者に対し、中間処理後物の行き先をマテリアルリサイクル業者に変更するように相談してもよいでしょう。新たにマテリアルリサイクルの工場を探してくれるかもしれません。

なお、ヴェオリアグループはプラスチックのマテリアルリサイクルの国内トップシェアを誇っており、プラニックを合わせると7万トンのプラスチックを受入能力があります。お気軽にお問い合わせください。

その他の規定

事業場ごとに責任者を選任しなければなりませんが、隣接する工場と支店など、取組の責任が取れる範囲での兼務はできるようです。特に資格はいりませんので、各事業場の環境や総務の方が担うことになるでしょう。

また、教育や取組の実施状況を把握し、目標を設定して計画的に取組む必要があります。目標や計画立案などの開始時期までは定められておらず、適切な時期に開始すればよいようです。EMSを運用していれば、プラスチック関連を組み込めば良いので、とりあえず大きな問題にはならないでしょう。

繰り返しになりますが、2022年4月の施行後、小規模事業者以外は事実上全ての工場、オフィス、倉庫、営業所などが対象です。次回の監査で対応できるように、責任者の選任や教育計画の立案など最低限の体制は整えておきましょう。

多量排出事業者と報告書

前年に250t以上排出した場合は多量排出事業者となり、取組状況をインターネットなどで公表する努力義務があります。会社全体(チェーン店含む)で250tですから、該当する企業は少なくないでしょう。250tに達しているかどうかは、基本的にマニフェストに記載の数量から把握します。混合物の場合はプラスチック分だけを按分・集計することができます。もし、多量排出事業者の取組が著しく不十分な場合は、勧告・公表・命令・罰則を受ける可能性もあります。その他、チェーン店の本部や建設工事の元請けにも、加盟店や下請けを指導をすることなどが求められています。

今後、多量排出事業者となるメーカー、流通業、小売業、フランチャイズチェーンなどは、ウェブサイトやサスティナビリティ報告書で、プラスチック使用製品産業廃棄物等の排出量や再資源化、熱回収の状況を公表することになるでしょう。一方でこれまでリサイクルに熱回収を含めて「廃棄物ゼロ」「100%リサイクル」「ゼロエミッション」などを標榜してきた場合は、表現の整合をどのように取っていくのかが課題となりそうです。これからは国際的な投資指標にサーキュラー・エコノミーへの取組状況が含まれます。単に日本語版を英訳するのではなく、国際標準を念頭に置いた情報の整理、発信をしていくべきかもしれません。