
長距離輸送 VS リサイクル
リサイクルをするためでも、長距離を運搬してはかえってマイナスになるのではないか、という懸念を持たれる方も多いでしょう。しかし、安易に長距離輸送を否定するべきではなさそうです。状況にもよりますが、一般にリサイクルによるCO2排出削減効果のほうが、長距離輸送によるCO2の増加量より大きいようなのです。実際の数字を確認してみましょう。
輸送によるCO2は思ったより少ない
一般にプラスチック1kgをトラックで1km運搬する場合、約0.1g-CO2が排出されます。仮に50km輸送すると5g−CO2、500km輸送(東京ー大阪間)したとしても50g−CO2です。それに対し、こちらの記事にある通り、容器包装プラスチックを1㎏焼却すると約2.9㎏のCO2が排出されますが、マテリアルリサイクルすると約2.2㎏で済みます。仮に500km輸送したとしても50g、全体に占める割合は数%しかありません。リサイクル方法次第ですが、長距離輸送であることを理由に、リサイクルを諦めるべきではないでしょう。
CO2を多く出す輸送は、そもそもコスト面で成立しない
上記はいずれも「プラスチック資源循環に関する一括回収等への 移行に向けた市区町村向け手引き p.26」(令和6年6月環境省)より算出しています。設定としては長距離輸送のために運搬効率を上げた方法=トラック1車あたり6.4トン運搬(ベール200kg×32個/回)です。したがって、2t程度しか乗らないパッカー車で、市内を巡って収集したうえに遠方まで輸送するとなると話が変わってきます。しかしそれでもCO2はそれほど増えません。現実には、CO2より先に、運搬コストが問題になると思います。
比重をあげるには、圧縮してベールにする方法や、破砕する方法があります。圧縮の強度や、破砕のサイズによっても比重は変わります。このようにして比重を高めたモノを、できるだけ多く保管してから、大型の車両に満載するようにしています。さらに、行きも帰りも荷物を乗せてトラックを走らせるために、運送会社が複数の荷主と運送日の調整をすることも多いです。このように様々な手法で運搬効率を高めることで、コストダウンと運搬によるCO2の排出削減が行われています。